WordPress 7.0 で何が変わる?Web制作者が今すぐ知っておくべき新機能8選

WordPress の次期メジャーバージョン WordPress 7.0 の正式リリースが迫っています(2026年4月時点でリリース直前)。今回は公式の WordPress Developer News(2026年3月・2月版) や Make WordPress Core の情報をもとに、Web制作者が押さえておきたい新機能を網羅的にまとめます。

「ひとりで書く CMS」から 「みんなで作るプラットフォーム」 へ。WordPress 7.0 は Gutenberg Phase 3「コラボレーション」の本格始動を告げる、WordPress 22年の歴史のなかでも特に大きな転換点となるリリースです。

リリーススケジュールについて(2026年4月13日時点)

当初 2026年4月9日のリリースが予定されていた WordPress 7.0 ですが、4月4日に公式発表があり、リリースサイクルが延長されることになりました。

延長の主な理由は、リアルタイム共同編集機能を支えるカスタムテーブルの実装において、アーキテクチャ設計の最終決定にさらに時間が必要となったためです。新しいリリース日は4月17日以降に改めて発表される見込みで、正式リリースは2026年5月中〜下旬になると予想されています。

すでにベータ版・RC版は公開されており、新機能の全容は明らかになっています。今のうちに内容を把握しておきましょう。

WordPress 7.0 の主要な新機能

① リアルタイム共同編集(Real-Time Collaboration)

WordPress Developer Blogより

WordPress 7.0 最大のトピックが、複数ユーザーによるリアルタイム同時編集のサポートです。投稿・固定ページを複数人が同時に開いて編集でき、変更内容がリアルタイムで全員の画面に反映されます。Google ドキュメントのような共同作業が、WordPress の標準機能として実現しました。

技術的には Yjs(CRDT エンジン) を採用しており、同時編集による競合を自動的に解決します。同期の方式は WebRTC ではなく HTTP ポーリング が標準として選ばれており、特殊なサーバー設定なしに幅広いホスティング環境で動作します。プラグインやホスティング側で WebSocket を使った高速同期に切り替えることも可能です。

エディター上部のツールバーには、現在編集中ユーザーのアバターアイコンがリアルタイムで表示され、誰がどのブロックを編集しているかを一目で確認できます。

注意: リアルタイム共同編集は、正式リリース時点ではデフォルト オフ です。利用する場合は「設定 → 投稿」から手動で有効にする必要があります。

② ビジュアルリビジョン(ブロック単位の差分表示)

WordPress Developer Blogより

共同編集と連携する形で、ブロック単位のビジュアルリビジョンが搭載されました。エディター内で過去のバージョンと現在の状態を視覚的に比較できます。

  • 追加箇所 → 緑色でハイライト
  • 削除箇所 → 赤色でハイライト
  • 設定変更箇所 → 黄色でハイライト

「どこが変わったのか」をブロック単位で追跡でき、複数人でのコンテンツ制作・レビューのワークフローが大幅に改善されます。

③ WP AI クライアント(AI連携の標準基盤)

Make WordPress Core の公式記事 によると、WordPress 7.0 では WP AI クライアント という新しいコア PHP ライブラリが導入されます。

これは プロバイダーアグノスティック(特定AIに依存しない) な設計で、OpenAI・Anthropic Claude・Google など複数の AI プロバイダーを同一のインターフェースで扱えます。各プラグインがバラバラに AI サービスと直接連携する従来の方法に比べ、プロバイダーの切り替えが設定変更だけで済むようになります。

コアの WP_AI_Client_Prompt_Builder クラスが WordPress の規約(スネークケース・WP_Error の返却・WordPress HTTP トランスポートとの統合など)に沿った形でラッピングし、既存の WordPress プラグイン開発の文法でAI機能を扱えます。

④ Connectors API(外部サービス接続の一元管理)

WordPress Developer Blogより

Connectors API の公式発表 によると、管理画面に 「設定 → Connectors」 という新しいメニューが追加されます。

ここでは、AI プロバイダーへの API キーをサイト全体で一元管理できます。WordPress.org には OpenAI・Anthropic・Google の公式プロバイダープラグインが用意されており、Grok や OpenRouter のコミュニティ提供プラグインもすでに登場しています。API キーは UI 上でマスク表示され、REST レスポンスにも含まれないよう保護されています。

将来的には AI にとどまらず、決済ゲートウェイ・ソーシャルメディアなど幅広い外部サービスの接続管理にも拡張される設計です。

⑤ Abilities API(WordPress の機能を標準化して公開)

Client-Side Abilities API が安定パッケージ @wordpress/abilities として正式リリースされます。

これは WordPress サイトが「何ができるか」を、AI やプラグインが標準的な方法で発見・実行するための仕組みです。たとえば AI ツールがサイトの機能を自動的に把握し、適切な提案や操作を行えるようになります。サーバーサイドとクライアントサイドの両方に対応しています。

⑥ 管理画面の大幅リフレッシュ(DataViews)

管理画面のデザインが刷新されます。DataViews の進化により、投稿一覧・固定ページ一覧などの管理画面が現代的な UI に生まれ変わります。

クリーンなタイポグラフィ・一貫したスペーシング・ページ再読み込みなしのインラインフィルタリングが実現し、コンテンツ管理の効率が大きく向上します。将来のリリースでサードパーティ製のデータタイプを登録できる基盤も整備されました。

⑦ ブロックのデバイス別表示制御

以前はプラグインや CSS での対応が必要だった デバイスごとの表示・非表示設定 が、ブロックエディターの標準機能として搭載されました。各ブロックのサイドバーから「スマートフォンでは非表示」「PCのみ表示」といった設定を GUI 上で完結できます。

⑧ エディターの iframe 化

投稿エディターがデフォルトで iframe 内で実行されるようになります。これにより、テーマのスタイルとエディターのスタイルが完全に分離され、エディター上でのプレビューがより実際の表示に近い状態で確認できます。完全な適用は WordPress 7.1 で予定されており、7.0 では段階的なロールアウトとなります。

動作環境の変更:PHP バージョンに要注意

WordPress 7.0 では PHP の要件が変更されています。

  • 最低要件: PHP 7.4 以上
  • 推奨環境: PHP 8.3 または 8.5

古いサーバー環境でWordPressを運用している場合は、アップデート前に必ずサーバーの PHP バージョンを確認してください。

アップデートの際に気をつけること

メジャーバージョンアップのため、以下の点を事前に確認してから適用することをお勧めします。

  1. バックアップ:データベースとファイルのフルバックアップを必ず取得してください。
  2. プラグイン・テーマの互換性確認:使用中のプラグインやテーマが WordPress 7.0 に対応しているか事前に確認しましょう。特にエディター関連プラグインは要チェックです。
  3. PHP バージョンの確認:PHP 7.4 以上が必要です。可能であれば PHP 8.3 以上へのアップグレードも検討してください。
  4. ステージング環境でのテスト:本番環境への適用前に、テスト環境で動作確認することを強く推奨します。

おわりに

WordPress 7.0 は、共同編集・AI連携・管理画面の刷新と、複数の大型アップデートが一気に搭載される歴史的なリリースです。これまで Google ドキュメントや Notion などの外部ツールで補っていたチーム制作のワークフローが、WordPress 単体で完結に近づきます。

AI 連携についても、単なる「AI プラグインを入れる」という話ではなく、WordPress コアが AI とどう連携するかの標準的な仕組みを整備した点が重要です。今後のプラグイン・テーマ開発の方向性を大きく変える可能性があります。

参考資料(公式情報)

石井秀幸@WEBデザイナー
WordPress公式『横浜 WordPress Meetup』主宰/株式会社ノクチ基地 取締役/モンゼンクリエイティブ合同会社 代表。WEB制作に関する技術や役立つ情報を発信していきます。10年にわたるWordPress歴を背景に、幅広いアイデアを形にするお手伝いをしています。